カセットテープでエアロスミスを聴いて感じた違和感と考察。

 

2016.08.26

 

 

先週は生音でのライブと機材フルセットのライブの2日間でした。

 

こうやって音楽に触れていられるというのは本当にありがたい。

 

また秋に向けて音の旅がはじまるので一分一秒をしっかり手で感じながら新しい歌を

 

生み出して行きたいな。

 

 

 

こんにちは、freedom smileです。

高校生の頃に聴き始めたエアロスミス、バイヤー向けのサンプル版カセットテープが手に入った

 

ので今回はこのベスト盤を聴いてみてのいろんな想いを書いてみようと思います。

 

 

僕が高校生の頃に発表されたアルバム『JUST PUSH PLAY』(2001年)、

 

この作品で初めエアロスミスと出逢った。

 

もちろんテレビやラジオで耳にはしてたんだけど、ちゃんと意識して聴いたのはこれが

 

最初だった。

 

聴きやすいポップなハードロックという印象で今でもこの頃のサウンドが自分の中では

 

=エアロスミスという認識になってる。

 

その一年後に日韓ワールドカップで来日、邦楽史上に残るB'zとの共演を経たあとに発表

 

されたのがこの『O, Yeah! Ultimate Aerosmith Hits』。

 

 

 

火曜日の夕方、学校から果てしないほどに遠いCD屋さんまで自転車を走らせて初回盤を

 

買いに行ったのはきっと僕だけじゃないはず。

 

国内版CDの初回盤は動く絵のジャケットになっていてボーナストラックも4曲収録という

 

豪華な内容だった。

 

家に帰ってDISC1を再生、初めて耳にするMama Kinを数秒聴いてみて、

 

あれ、買うCD間違ったかな、と心配になってしまったほど2002年当時とデビュー直後の

 

スティーブン・タイラーの歌声の違いに疑心暗鬼に近い衝撃を受けた。

 

全然ハスキーじゃないし曲もなんだか古くさい。

 

2002年から遡ること約30年、1973年の歌声と音楽性の違いを受け入れるまで一年くらい

 

かかった気がする。

 

 

 

今回手に入ったカセットもCD同様2本組、バイヤー向けのサンプル版ではあるんだけど

 

収録曲や曲順も変わらずそのままカセットになっているものでした。

 

肝心の音質に関して、当時はもうCDが主流の時代だったのでおそらくデジタルの音源から

 

カセットテープにダビングされたんだと思うんだけどCDとあまり変わらないクリアな音質

 

ですごく聴きやすかった。

 

もちろんテープらしい高音の抑えられたやわらかい音ではあるんだけど、これまで紹介させて

 

もらって来た古いカセットテープたちに比べるとあんまり目新しい感動はなかったのが正直な

 

感想。

 

前回のパティ・スミスはそれこそ38年前のカセットだったこともあってマスターになってる

 

音源もオープンリールのテープの頃、ものによってはレコードから音録りされたものもあった

 

んじゃないかな。

 

同じ頃のJ-POPのカセットは独特な味のある聴こえ方がしたんだけど同時期の洋楽では物足りない。

 

自分でもこんな感覚になるなんて思っていなかった。

 

 

OASISのモーニンググローリー(1995年発表)をカセットで聴いたときはいい意味での野暮ったさを

 

感じたのに5年しか違わないエアロスミスのベストは少し物足りない。

 

以前紹介したJUDY AND MARYのWARPは今回のエアロスミスのカセットとほぼ同時期のものなのに

 

違和感はなかった。

 

 

たぶんなのだけど、マスタリングやミックス次第でカセットという記録媒体との相性が変わるの

 

かもしれない。

 

 

去年僕が出した『世界の空と、夜明け前。』(2015年発表)というアルバムは自宅の機材で録音、

 

あまりポップス感を出したくなかったので今のJ-POPでよく見られる高音圧にするのを避け70%

 

くらいに抑えてエンジニアさんには仕上げてもらったんだけど、そのデジタル音源からデビング

 

して作ったカセットテープ版は個人的にはCDよりも耳障りがいいなと感じた。

 

カセット工場の方と話をさせてもらった時、カセットにする時に改めてミックス、マスタリング

 

し直す必要はないですよとアドバイスをもらった。

 

 

その言葉を片隅に置きつつ、CDで聴いた時にオルタナティブっぽい音質になるよう目指して

 

引き算したらたまたまカセットとの相性がよかった。

 

レコードも同じ音源で制作したんだけど、こちらに関してはさらに音圧を下げて作った方が音粒が

 

しっかり聴こえてくれそうだなと感じた。

 

 

 

エアロスミスの音楽はすごくダイナミックだからその魅力が伝わるようにマスタリングされてると

 

思うんだけど、そう思うとCD用に調整されたその音圧の厚さがカセットでは強すぎてこれまで感じて

 

きたテープの心地よさには繋がらず " CD音源をダビングしたカセットテープ " というものになって

 

しまったのかもしれない。

 

 

2000年代初頭のJ-POPは音圧もまだそこまで厚くなかったからカセットとの相性もよかったと考えれば

 

年代は同じでも洋楽と邦楽でカセットでの聴こえ方に違いがあったことは点と点が線になる。

 

 

今回感じたことの裏付けも兼ねて、今度はこの頃の他の洋楽カセットでも聴き比べをしてみようと思う。

 

 

アナログ音源のレビューを書き始めて約半年、なんだか少し違う景色が見えて気がする。

 

 

 

音質の違い、果たして真相はどうなるのか。

 

text : freedom smile (山口達也)


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