カセットテープで聴く宇多田ヒカル『DEEP RIVER』。

 

2016.06.22

 

 

 

満月のスポットライト

 

海から漂ってくる潮風

 

雨音がサウンドトラック

 

 

 

福岡 糸島で向かえる初めての梅雨は空梅雨かなあと思っちゃうはじまりだったのだけど、

 

ここ数日はらしい雨の降り方をしてくれている。

 

 

ちょうど田植えの時期でもある6月末、しっかり降ってもらって秋の稔へバトンを渡して

 

くれるといいなと願っていたりするんです。

 

 

こんにちは、freedom smileです。

 

 

カセットテープ、アナログレコードのレビューを書く事も昔より楽しくなって来ています。

 

紹介したいものはたくさんあるのだけど、果たしてその中のどれくらいが手に出来るんだろう。

 

出逢いもめぐり合わせだと思うので焦らず偶然の必然を待つ事にしようと思います。

 

 

 

新曲と共に6年ぶりに活動再開を発表された宇多田ヒカルさん、J-POPアナログレコードの

 

中でも未だに人気があって2ndアルバム『DISTANCE』と3rdアルバム『DEEP RIVER』は

 

一万円台でやり取りされる事も多い。

 

 

今回は、14年前のちょうど今頃発売されて、程よくアンニュイな雰囲気が梅雨の季節にぴっ

 

たりだと個人的に感じている『DEEP RIVER』のカセットテープを紹介しようと思います。

 

 

この作品が発表されたのは2002年の6月19日で、いまから14年前。(2016年現在)

 

 

以前紹介した記事の中でも書いた通り、2000年以降にJ-POPでカセットテープ盤が制作され

 

ているものは日本国内というよりはアジア各国向けに作られていて、タイで生産されている

 

ものがほとんど。

 

これも例に漏れずMADE IN THAILANDで、運良く新品未開封で手に入った。

 

生産をEMIが管理していたからなのか分からないけどテープには赤いプラスチック製の

 

ストッパーが付いていたり、外身のケースやテープの最初と最後の余白部分にEMIのロゴが

 

印刷されてたりちゃんとしてる。

 

 

そして今まで手にしてきたカセットテープの中でも群を抜いて大容量のインレイ。

 

(ケースの中に入ってる紙製の歌詞カード)

 

面積の問題である程度写真やクレジットが省かれてる事も多いんだけど、CDのブックレット

 

と同じ内容で掲載されてた。

 

 

 

唯一帯の部分にタイ語の表記がある。

 

 

実際にプレイヤーで再生してみると、少しワウフラッターと言われる音のふらつき、それから

 

ボーカルがサ行の発音をする時に若干歪んでいるのが気になった。

 

SONYのウォークマンとレコーダー、Nationalのラジカセ3台で共通してたからたぶんテープに

 

原因があるんだと思う。

 

ただその辺は楽観主義の僕の強み?でそれもあまり気にせず楽しめたりする。

 

タイの人たちはこれで聴いていたんだろうなと想像すると面白いし、日本の工場の精密さを

 

改めて知る事も出来るからね。

 

実はアナログレコード盤も持っていてCD、レコード、カセットで聴き比べた感想として一番

 

聴き心地が良かったのはレコードでした。

 

ソウルミュージックの要素が強かったり、ビートの強い曲が多いからレコードで聴く時にしっくり

 

来たんじゃないかな。

 

 

映像ではあまり気にならなかったので是非カセットテープの音源をささやかながら楽しんでもらえ

 

ればうれしいです。

 

曲はPVも素敵なTravelingにしました。

 

 


 

『DEEP RIVER』が発表された頃、学生だった僕はミュージックビデオだけが流れる深夜番組

 

をビデオに録画しては音楽と映像で作品の世界を楽しんでた。

 

当時はYou TubeがなかったからMVが見たければこういった深夜番組かカウントダウン番組、

 

クリップ集のビデオを買うかボーリング場のジュークボックスでリクエストするなどとにかく

 

手間がかかった。

 

 

そういった状況の中、ものすごく作り込まれたTravelingのMVを映画みたいに繰り返しみてた。

 

 


 

そしてどうしても紹介したいのがカセットA面に収録されていてアルバムのタイトル曲でも

 

ある DEEP RIVER 。

 

宇多田ヒカルさん自身悩みだったり迷いだったり葛藤だったりを抱えていたんじゃないかな

 

と感じる歌詞、それに寄り添うように流れる映像は本当に素晴らしい。

 

シングルにはなっていないんだけどこうしてMVが制作されたという事は宇多田さん自身作品

 

として思い入れも特別だったんだと思う。

 


 

こうやって10年以上前の作品を振り返ったりすると自分の昔を思い返すきっかけにもなるし、

 

当時そのミュージシャンがどんな心境、状況だったんだろうと想いを馳せる事も貴重な経験

 

になる。

 

 

自分も歌を生み出している中でこれからまだまだいろんな想いを積み重ねていくんだろうな。

 

今は10年後の自分に想いを馳せつつ日々丁寧に作品作りをしていこうと思う。

 

 

深い深い川の流れにしっかり漂っていかなくちゃ。

 


 

text : freedom smile (山口達也)


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