2016.04.25
心地よいゆらぎ、
繰り返す日々の時間、
そのなかで生まれる新しい出来事。
福岡糸島の春は風も気持ちがよくて、特に何をするってわけでもなく海へ
出かけて波を眺めてみたり潮風を浴びに行ったりすることが増えた。
こんにちは、相変わらずな freedom smile です。
カセットテープで音楽を聴くようになってしばらく、
ここで紹介させてもらった OASISのDon't Look Back In Anger、PRIMAL SCREAMのROCKSの
二曲を自分のラジオ番組『 freedom smile の SOUND TRIP (ラヂオつくば84.2) 』でもオンエア
させてもらったりとカセットのもついい意味で " 完全じゃない魅力 " をお伝えする場所が増えた
事がとても嬉しいしこの機会に恵まれている事が有り難いなと思う。
これまで洋楽の楽曲を取り上げさせてもらう事が多かったんだけど、言うても90年代 00年代の
J-POPに自分を作ってもらった部分は大きい。
という事で今回はたまたま新品の状態で手に入った JUDY AND MARY (ジュディアンドマリー)
2001年発表の最後のオリジナル アルバム『WARP』のカセットテープ音源を紹介してみようと
思います。


2001年2月の発表から2016年現在に至るまで15年も経っているのにキャラメル梱包されてる
部分にもSONYの印字が残ってる未開封の状態で手元にやって来た。
発売当時、世の中はCD全盛期。
カセットテープはすでに過去の産物的存在になってたこの時期になんでカセットテープ版が存在
しているんだろうと疑問に思う人も多いと思う。
日本ではCDがメインの音楽媒体だった頃、台湾やタイといった地域ではまだまだ音楽はカセット
で聴く事が主流で当時タイに旅行した兄がお土産で持ち帰ってくれたタイのベストヒットソング
コンピレーションみたいなアルバムもカセットだった。
J-POPの認知度の高い国ではこうしてカセットテープで新譜が流通していたものの日本の大手CD
ショップに並ぶ事はほとんどなくて、代わりにホームセンターの輸入品コーナーやディスカウント
ストアにはCDだと ¥3,000近くする洋邦の新譜がカセットで¥1,000〜¥1,500くらいで揃えられて
たりした。
自分が記憶している限りエリック・クラプトンがBBキングと発表したRiding with the Kingもカセット
でショーケースに入ってたのを憶えてる。

90年代から00年代は個人的に洋楽も邦楽も黄金期だったと感じてるんです。
歌謡的な要素を残しながら洋楽の影響をふんだんにまとった作品が多いし、この時代独特のアク
の強さもあるなと思う。
メジャー、アンダーグラウンドどちらのシーンでも個々が際立ってたりどこか近寄りがたい雰囲気
を醸し出しているミュージシャンもたくさんいた。
この20年の期間を駆け抜けたバンドの代表でもあるジュディマリは僕のすきなYELLOW MONKEY
とも共通点が多いんです。
ぱっと思いつくだけでも、デビューから解散までの時期やロンドンでのレコーディング、るろうに剣心
のタイアップ、活動後期の活動休止、東京ドームでのラストなどなど…。
メンバー脱退の話から解散へ向かう最後(イエローモンキーは吉井さん、ジュディマリは恩田さんが脱退
の話を持ち出して解散に向かって行く)も似てるような。


今回手にした『WARP』というアルバムはジュディマリが活動休止を経てシングルを立て続けに
リリースした末に発表された最後のアルバムで、自分が初めて買ったジュディマリのアルバム
『THE POWER SOURCE』時の聴きやすくて耳障りのいいポップな世界観とは違ってトリッキー
でへんちくりんな構成の曲が多い。
まだギターを弾き始める前の頃の自分にとっては『 THE POWER SOURCE 』の方がとっつきやす
かったけど、曲を作るようになった今改めて聴いてみると途中で曲の表情ががらっと変わるところ
やアルバムの中にインストの曲が入っているところなんかはすごくかっこいいなと感じる。
12曲中5曲がシングルのこのアルバムの中でも好きなのは最後に収録されている『 ひとつだけ 』。
イエローモンキーが解散前に『パール』というシングルを発表した時の最後の悪あがき的衝動や
目の前にある絶望とうっすら願っている希望の代弁、そういったものが同じように伝わって来た
生々しい作品だった。
さっきも書かせてもらったようにトリッキーでへんちくりんな部分が多いアルバムなんだけど、
この曲のサビのメロディーを聴くと『 THE POWER SOURCE 』で『くじら12号』を聴いた時の
感覚が体にもどって来て全部 すっと筋が通りまた一曲目から聴き直したくなる。

このカセットをSONYの1999年製ウォークマンWM-EX600の中に入れて一日出かけている間聴い
ていたんだけど B面最後の曲を終えてA面一曲目へ自動でもどるオートリバース機能は本当に素晴
らしくて、ウォークマンは音を再生させるだけでなく作品の世界観も " 再生 " させるんだなと心底
感じた。

今のところ再結成の噂もないけど、
激動だったバンドの活動の痕跡を手のひらで確かめつつ
叶うか分からない4人の再集結の予感を抱きしめてゆらりと待ってみようと思う。

ext : freedom smile (山口達也)
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