2015.11.16
発売されたのが21年も前とは思えない。
何度もそう言われて来たんじゃないかなと思う小沢健二さんの傑作アルバム LIFE。
東京スカパラダイスオーケストラの皆さんが参加されてることもあってアルバム全体に
ホーンの華やかな音が散らばってるのがすごく好きだったりするんです。
自分のライブで大阪へ行ったとき出店されてたレコード屋の女性がいたんだけど
よそではそこそこの値段が付いてるレア盤も良心的な価格で出されててその時に
このアルバムのアナログ盤を譲ってもらった。
もともとCDでも聴いてた作品だったしレコードに針を落とす時も特に気にはしてなかったんだけど、
聴き出して曲が進んでくごとに少し違和感があった。
その時は理由が分からず、レコードを聴き終わって改めてCDと音質を聴き比べようと再生させた時に
違和感の正体がわかった。
曲順と収録曲数がCDと違う。
最初の三曲目までは一緒なのにそれ以降曲順も違えば
「いちょう並木のセレナーデ (Reprise)」もレコードではカットされてる。
あくまで自分の想像でしかないんだけど、極端にレコードへ収まりきれない
収録時間というわけではないこのアルバムはレコードの収録状態が小沢さん
にとっての完成のカタチだったのかななんて思うんです。
今回作った「世界の空と、夜明け前。」というアルバムはCDとカセットに加えて
レコード音質のダウンロード音源もあって、これは実際にアルバムを一枚のアナログ盤
にしてその音を取り出したものなんです。
その作業の中ですごく重要になったのが
" どの曲でA面を終えて、DISC2はどの曲から始めるか 、どのくらいの収録時間にするのか "
という事。
レコードは最初の5分間を収録してる部分が一番きれいに音が録音出来て、
内側に向かうに連れて音質は堕ちていく。
収録時間が短くなればその分いい音質で聴いてもらえる演奏時間が長くなる。
その制限の中で自分の表現したいもの、聴いてもらいたいものを最大限活かす方法
を模索した結果アナログ盤の収録曲数、曲順になったのかもしれないなと。
なんて事を想いながらもう一度レコードで聴き直したLIFEからは、
音楽家としてだけでなく表現者 小沢健二さんの想いが伝わってくるような
聴こえ方がしました。
媒体が変わる事で曲の聴こえ方も変わるんだなあと、身をもって教えてもらえた
21年前の教材。
今夜もう一度聴き直してみたら また新しい発見がありそうな気がする。
written by freedom smile
●リリース情報
小沢健二『超LIFE[完全限定生産盤] 【DVD】』
価格(税込)¥5,800
2014年にLIFE20周年を記念して発表された特番のDVD。
これを見ながらみんなでLIFEをおさらいしましょう。